あの事件2−誰も知らない、学校のいじめ体験

竹内の真意を知って、愕然とする生徒達。 今まで竹内という教師を心底ナメきっていた生徒達には、 竹内の心を始めて感じた事だったろう。

竹内の吐露はそれからも続いた。 今までの荒れ放題の中で、授業をやり続ければならなかった心情や、 今まで知る事のなかった、担任としての苦悩をぶちまけていた。 それを聴いて泣き出す者も数多くいた。

この時には下校時間をとうに過ぎ、窓の外も暗くなっていた。 廊下側の窓から、うちのクラスの異変に気が付いた、ほかのクラスの生徒が 時々様子を伺うように覗き込む。 生徒の中には、塾の時間だから帰るという者や、 いや、俺は残るよ、という者もいた。

・・・こんな時間がどの位続いたのだろうか? 話に丁度、区切りが付いた瞬間、 突然廊下の扉が開き、人が入ってきた。 美術の教師だった。

この教師は廊下であらかた話を聞いていたのだろう。 入ってくるなり、それまでの話の総括と 明日までに反省文を書いて来るように約束させ、 今日は解散とさせた。

あの時の出来事は、大げさに言えば、 ドキュメンタリー学園ドラマといえるかも知れない。 その後、あれほど好き勝手やっていたうちのクラスだが、 この出来事を境に変わって行った。 3学期の最後に校内音楽会というものがあり、 それに向けて朝錬までやる事になった。 結果は2番だったのだが、最後の締めくくりの挨拶で、音楽の教師にして 「本当はうちのクラスを1番にしたいぐらいだ」と言わしめたのだから、 相当な変わり様だったのだろう。

それにしても、最後にこんな展開で締めくくられるとは、誰が予想しただろうか? あの地獄の様なクラスが、こうも変わるものなのか? ・・・馬鹿げている



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