一章・記憶−誰も知らない、学校のいじめ体験

今、眼をつぶって、
いじめの記憶を辿る・・・

暗闇の階段を、
手探りで少しずつ降りていく。
抵抗、という
蜘蛛の巣を振り払いながら・・・

あのころ、
世の学校は荒れ狂っていた。

中学で起こる”校内暴力”が盛んに報道され、社会問題にもなっていた。
「管理教育」という言葉が盛んに飛び交い、学校は荒廃し、校舎の窓ガラスが割られたり、生徒が教師を殴る事件が連日、報道されていた。

俺が中学へ進む頃には、
生徒の荒れ狂う炎は下火にはなっていたが、その燃えカスが、所々で くすぶっている状況だった。

俺が通う中学もその類に漏れず、良い噂は聞こえてはこなかった。 入学する間近になって、かなり不安になったのを覚えている。

小学生から、たった一年すぎるだけで、 着たくも無い真っ黒な学生服を着させられ、 どうして一昔前の少年院みたいな所に行かされるのかと、 子供心ながらに不安だった。

そして中学入学の当日を迎える。
不安を抱えながら、慣れない学生服を着て それまでの小学校に通っていた道とは違う、不慣れな一本道を歩いて行った。

今思えば、
この時の不安は紛れも無い事実だった。
・・・それがいじめという、
”心の屠殺場”へ続く道だったのだから。



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