中学の校舎に着くと、
自分が振り分けられたクラスを知るために、
昇降口に張り出された大きなクラス名簿の中から、自分の名前を探した。
と、同時に見慣れた名前が目に留まる。 近所に住む「S」という名前だ。 Sの事は小学生の頃から知っている。 俺が小学校二年生の頃、転校してきた時に同じクラスだった。 あまり良いやつではなかったのだが、 近所なので登校班が同じだった事もあり、 時々一緒に遊ぶ事もあった。
それが小学校を卒業する間近、Sとトラブルになった。 その頃Sは、学校にパチンコ
(最近は殆ど見る事がなくなったので一応説明するが、 Yの字形の先にゴムが着いており、 ゴムの真ん中に石やBB弾を挟んで飛ばす古典的な玩具。 しかし、下手なエアガンより余程威力がある。 当時でも、こんな時代遅れな物を持ち歩いているのはSぐらいなものだった)
を持って来ていて、 これを班登校をしている時に、俺に目掛けて飛ばしてきたのだ。 悪ふざけのつもりだったのだろうが、 これが俺の目の側へ当たり、一つ間違えば大事故になる所だった。 あいつは謝っていたが、冗談じゃない。 その場でSを投げ飛ばして地面へ叩きつけた。 後に、この事が元で、 道路の真ん中で、お互いに鼻血を流しながら喧嘩までした。
このSも含めて、俺の近所の連中はおかしな奴らが多かったように思う。 向かいに住んでいた「M」というのも、ロクな人間じゃなかった。 Mは二階から、隣の家の落ち葉に火の点いたマッチを投げ落とし、 これも危うく火事になる所だった。
「類は友を呼ぶ」 この時Sは、Mと同じクラスだったので、どうやら結託したらしい。 これを境に、二人とは不和になった。