強さを奪う−誰も知らない、学校のいじめ体験

・・・もうこの時には、
自分の中の「強さ」は折れてしまっていた。

ここまで読んでいて、 いじめをする人間に怒りを感じるのと同時に、 いじめられている「俺自身」に 不甲斐無さを感じる瞬間があるかもしれない。

・・・元々俺は、こんないじめをされて 黙っているような大人しい人間じゃなかった。 繰り返しになるが、いじめは、 少しずつ心を傷つけて 抵抗していく強さを奪っていく事を知って頂きたい。

そして多くのいじめは、 誰に向かって怒りをぶつければいいのか分からない状況を作り出す。 怒るにも、いったい誰がやったか分からないのだ。

この音楽室でのいじめはどうかと言えば、 明らかにYが背もたれを蹴っている。 「Yに向かっていけばいい」はずなのだが、単純にそうはいかない。 直接的ないじめは大抵、「”多勢”対”独り”」なのだ。

この場合も 後ろを振り返った時Yだけではない。 そこには俺を「蹴っていいよ」と言い出した男もいる。 ただでさえ孤立している俺が、Yと事を構えたとしても、 興奮して周りを囲んでくる奴等は、必ず俺に手を出してくる。 俺の後ろに回って背中を蹴られたりね・・・ これはもう、抵抗できない状況を作ってからの行為で、 明らかに”出来レース”な分けだ。

Kが掃除の時間、 下駄箱で俺の靴の中に、水を垂らしていたのを見つけられた時、 周りに誰もいなく、俺と1対1の状況に置かれて、 明らかにKは、ビビッた表情をしていたのを今でも思い出す。 (今思えば、この時、奴をボコボコにする絶好の機会だったのに残念だよ)



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