一学期はこんな感じだったのだが、二学期になり、 あの「Y」がクラスに転校してくる事になる。 Yは大阪から転校してきたらしい。 大阪弁を話していたから。
(余談だが、俺の家族の中で「家を買う」という話が持ち上がった時 家を見に行った事があった。 結局、親父はその家を買わなかったのだが、 後にその家に大阪から引っ越してきたのがYだった。)
Yは転校してきた早々本性を現した。 音楽室での事だ。 この中学には音楽室に机と言うものが無い。 (どうやら荒れた頃、生徒に壊されたらしい) なので自分の教室から椅子を持ってきて座る、という事になっていた。 この時、俺の後ろにYとクラスの男が座った。
しばらくすると後ろから 「こいつ蹴っ飛ばして良いよ」という声が聞える。 見ると、その男がYに俺を蹴る事を勧めていたのだ。
もうこの時には、クラスの中で 「あいつには何をしても良い」という認識が出来上がっていたのだろう 俺はそれを聞いて 「まさか転校してきたばかりの人間が そんなことするはずが無いだろう」と思っていたが、 それは甘かったよ。
Yは俺の座っている椅子の背もたれを、 床から椅子の足が浮くほど何度も蹴ってきた。 俺は睨んだり、「止めろよ」と言ったが、そんなのはお構いなしだ。 背もたれを蹴られ続けた あの時の嫌な思いは、今でも思い出す事が出来る。