二章・別次元−誰も知らない、学校のいじめ体験

二学期になっても、
いじめは相変わらず続いていた。

その陰湿さは日増しに激しさを増していったが 今思えば、この5人が行ういじめは 「心を傷つける」いじめだった。 いじめの罠を仕掛け、まんまと掛かった瞬間の 特有の動きや表情を見て嘲笑うという物だ。 言い換えれば間接的ないじめという事になるだろう。

けれど俺へのいじめは、
この段階で留まる事は無かった。

このクラスを徐々にシメつつある、リーダー格の「U」という存在 そして二学期から編入してくる「Y」という存在によって それまでのいじめが、まるでお遊びのような より直接的ないじめが行われる事になる。

Uが始めて絡んできたのは 1学期の最初の頃、 俺が風邪で3日間程休んで学校に出てきた時だ。

「あれ〜こんな奴いたっけ?」と 仲間を従えて近寄ってきたのを覚えている Uは昼になると時々俺の弁当から、サラミソーセージの切れ端を持って行った。 この時点では、Uはあの5人に混ざって表立っていじめをする事は無かった。 付き合うグループが違っていたのだろう。

しかし、 Uが俺へのいじめを嗅ぎつけるまでに、そう時間は掛からなかった。 Uは俺に「小学校の卒業アルバムを持って来い」と強要した。 Uには明らかに今までの5人と、質の違う雰囲気があった。 レプリカと本物の違いのようにね アルバムを渡したくなかったが、結局持ってこさせられ取り上げられた。 何度も返すように言ったが、全く聞く耳を持たなかった。

何時だったか 美術の時間Uをモデルにして写実をする事があったのだが、 それが物凄く嫌だった事を思い出す。 こんな2度と見たくもない奴の顔を、2時間近くも見て しかも精密に描かなければいけなかったのだ 苦痛だったよ



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